雇用調整助成金 手続の大幅な簡素化

雇用調整助成金 手続の大幅な簡素化

 

 雇用調整助成金制度と緊急雇用安定助成金に関して、手続が大幅に簡素化され、またオンラインでの申請が開始されるなどの変更が行われました。そこで2020年5月19日に発表された内容を確認しましょう。

[1]小規模事業主の申請手続の簡略化
 雇用調整助成金の支給申請では、従業員1人当たりの平均賃金額を用いて助成額を算定していました。今回、小規模事業主(概ね従業員20人以下)を対象に、「実際に支払った休業手当額」から簡易に助成額を算定(※)できるようになりました。
 また、休業に関する申請様式が簡略化され、支給申請をスムースズに行うことができるよう、申請マニュアルが公開されています。
※助成額=「実際に支払った休業手当額」×「助成率」

[2]不要となった休業等計画届の提出
 雇用調整助成金は、事前に休業等計画届の提出が必要ですが、新型コロナウイルス感染症に伴う特例として、2020年6月30日まで休業等計画届の事後提出が可能であり、2回目以降の提出は不要とされていました。
 今回、申請手続の更なる簡略化のため、初回を含む休業等計画届の提出を不要とし、支給申請のみとなりました。
 なお、休業等計画届と一緒に提出していた書類の一部は、支給審査に必要なため、支給申請の際に提出することになります。

[3]助成額の算定方法の簡略化
 小規模事業主以外の事業主についても、支給申請の際に用いる「平均賃金額」や「所定労働日数」の算定方法が大幅に簡素化され、次のように算出できるようになりました。

  1. 平均賃金額
    「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて、1人当たりの平均賃金額を算定できる。
  2. 所定労働日数
    休業等実施前の任意の1ヶ月を基に「年間所定労働日数」を算定できる等。

[4] 雇用調整助成金の申請期限
 雇用調整助成金の申請期限は、従来、支給対象期間の末日の翌日から2ヶ月以内とされていましたが、新型コロナウイルスの影響を受けて休業を行った場合、特例として、支給対象期間の初日が2020年1月24日から5月31日までの休業については、2020年8月31日が申請期限となりました。

[5] オンライン申請開始
 雇用調整助成金の申請は、窓口へ持参するか郵送する必要がありますが、事業主の更なる利便性向上のため、オンラインでの申請受付が5月20日より開始されました。申請にはメールアドレスとショートメールが受け取れる携帯電話が必要です。
 オンライン申請はこちら ※システムトラブルにより休止中
https://kochokin.hellowork.mhlw.go.jp/prweb/shinsei/

 今後も雇用調整助成金制度の変更が予想されるため、最新情報を確認の上、手続を進めましょう。

■参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
厚生労働省「雇用調整助成金の手続を大幅に簡素化します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/press1401_202005061030_00001.html

 ところで、当法人でも何社も雇用調整助成金を申請させて頂いていますが、現在の雇用調整助成金の金額は、8330円で定められていますが、5月中旬に15000円の上限金額がアップするということで政府は動いています。正社員であれば、ほとんどに企業が8330円の日額は、余裕で超えています。

 今の心配は、15000円に上限が上がった場合、4月1日まで支給申請してしまった分も遡りで遡及されるのかどうかです。早々申請した企業さんが損をしない制度にしてもらいたいと祈るばかりです。

 当事務所のことでも、この度テレワークを始めるためにテレワーク助成金を申請してみましたが、当初の締め切りが5月29日まででしたが、まだ交付決定すら通知されていない状況です。コロナの混乱で厚生労働省の助成金の認可も、だいぶ滞っているようです。気長に交付申請書が届くことを待ってみます。

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。