人事評価制度の目的は何ですか?
これまで20年以上中小企業の経営者と関わってきましたが、
人事評価制度を上手く活用して人材育成にまで
つなげられている中小企業は1%もありませんでした。
全ての企業は『人』でできているにも関わらず、
この最も重要な資産の成長に投資をしている企業はほぼありませんでした。
確かに、売上に直結しそうな広告などの方が、
経営者の皆様としては魅力的に映る気持ちもよくわかります。
来月すぐに結果が出る即効性の高いものもあるでしょう。
しかし、企業が継続的に成長し、会社の向かう目標を現実のものとしていくためにはその企業で働く社員の成長が『絶対に』必要不可欠です。
「成長してくれたら助かる」という次元の話ではなく、『必須』の条件なのです。
社員は、ほとんどの場合あなたが思うよりもはるかに高いポテンシャルを秘めています。
しかし、この『能力をうまく引き出す仕組み』と『動機付け』がない故に、
日の目を見ることなく埋もれてしまっているのです。
この『発揮できていない社員の能力』を最大限に引き出し、
それを業績に直結させ、企業の目標やあるべき姿を達成するために導入するのが、『人事評価制度』なのです。
場当たり的な広告やツールにお金をかけるのではなく、
他社に先駆け会社の最大の資産である『人材』に投資し、
競合他社には絶対に真似の出来ないあなたの会社だけの人事評価制度を上手く活用することで圧倒的な差別化が図れます。
人事評価制度とは、何のためのツールなのでしょうか?
人事評価の結果により、昇給、賞与に差をつけることですか?
絶対にしてはならないことは、人事評価制度(人事考課)を昇給額、賞与額の差をつけることだけに活用することです。
もちろん、昇格や昇給の判断要素だけに活用することも同じです。
要は、人事評価制度(人事考課)の評価結果を昇給額・賞与額・昇格・昇給の判断要素に活用することは間違いではないのですが、これらの判断要素だけに活用することが間違っているのです。
人事評価制度(人事考課)の目的は人材を育てること?
これは、ほぼ正しいのですが、完ぺきな回答ではないです。
確かに人事評価制度(人事考課)の目的は人材育成です。
では、なぜ、人材育成が必要なのでしょうか?
それは、人手不足があります。
要は人の手がなければ企業が運営できない状況にあるのです。
また、人であればだれでもよいのではありません。
反復、継続する単純作業であれば、今の時代であればRPAやAIが判断し、
自動化ができますが、単純作業ではなく複雑な作業などはより高度な知識が必要になり、
仕組みをしらなければ、その自動化した作業が合っているかも気づきません。
管理していく人が今後は必要となり、人の必要性は昔よりも高度化することが見込まれます。
今後は、如何に人材を採用して、採用した人材の能力・力量・技量を伸ばしていける企業が発展していくのです。
これは、企業の“発展” のために必要不可欠なのです。
人事評価制度(人事考課)の真の目的とは?
やはり、人事評価制度(人事考課)の真の目的は人材育成だと思われる方もいらっしゃると思いますが、
実はその先があるのです。
本来、企業にとって、なぜ人材育成が必要なのでしょうか?
それは、目的を達成することではありませんか?
企業にとっての目的とは、その企業ごとにいろいろありますね。
まずは、その「企業の達成すべき目的・企業の実現すべき目的」を明確に決める必要があります。
企業の達成すべき目的・企業が実現すべき目的を明確に定め、その目的のための人事評価制度(人事考課)を策定し、運用しなくてはならないのです。ですから、
人事評価制度(人事考課)は目標を達成するためのツール
なのです。
具体的な目標の例としては、
・人手不足を解消する
・社長の後継者を育成する
・3年後に売上を3倍にする
・従業員数を5年後に100人にする
・新製品を作成し、大ヒット商品にする
・残業時間を削減する
・労災事故を減らす
・クレームを0にする
など、考え出したらキリがありません。
「人材育成が目的」よりも一歩進んだプロセスであるのです。
ですから、人事評価制度に取り組む場合、予め、社長自身が人事評価制度(人事考課)の導入目的を具体的にしておかなくてはならないのです。
設定する目的として、「昇給の判断要素」「昇格の判断要素」は、間違いではありませんが、それらはプロセス(過程)であり、人事評価制度(人事考課)の真の目的とはいえません。
企業の目標を達成するためには、同じベクトルの方向に社員も向いていることが必要となって来ます。
そのために、人事評価制度というツールを利用します。
当法人でも人事評価制度から賃金制度の改革をお手伝いしていますが、
人事評価制度を手を付ける前に、社長や人事制度プロジェクトに集まった社員たちに、
経営理念から理想の社員像、現在の社員の社員に足りないものを一緒に考えるワークをして頂きます。