年齢給とは

 年齢給とは、年齢や勤続年数を基準に決定され、年齢を重ねるほど給料が上がる賃金制度です。
年齢給は基本給の一つで、終身雇用が多く導入されていた日本企業では年齢給が多く導入されていました。
 

年齢給は勤続年数が長い人を評価するため、終身雇用を促す仕組みです。
しかし、企業の業績悪化により、終身雇用制度が維持できなくなったため、年齢給の仕組み自体も合わなくなってきました。
また、働き方改革によって、導入される同一労働同一賃金と年齢給の考え方は相容れない考え方であることも、導入率が減少している要因です。

 近年は時代の流れとともに、取り入れる会社は少なくなってきましたが、まだまだ年齢給が残っており、社員の能力が高かろうが低かろうが、一律のピッチで基本給を号俸表に当てはめて、上げていく会社が古くからの慣習で残っている会社も多くあり、時流に即していないということで、変更したいというご要望の9割の理由がこの理由になります。

年齢給のメリット

社員に安心感を与える点がメリットです。
個人のスキルや能力に影響されず、働き続けられれば給料が増え続けるため、安心して働きやすくなります。
また、評価や計算の必要がないため、人事側の運用も簡単です。

勤続年数が長い社員が増えるため、スキルが蓄積されます。

年齢給のデメリット

年齢給は、若手社員ややる気のある社員からは、不満に思われやすい給与制度です。

年齢給のデメリットは
・勤続年数が短い社員が不満に思いやすい
・人件費が徐々に高騰する
・生産性の低下を招く恐れがある
・頑張っても頑張らなくても年を取れば一律に昇給するため、やる気のない社員を生む

特に年齢給によって在籍年数が多い社員が増えると、セクショナリズムに陥りやすくなり、他部署と非協力的になる結果、生産性の低下を招く可能性があります。

年齢給を廃止する際のポイント

これまで年齢給を導入していた企業は同一労働同一賃金の観点からも改正する必要があります。

しかし、給与体系の改正は簡単ではなく、従業員への影響も大きいため、よく考えなければいけません。
ここでは年齢給を改正する際のポイントについてお伝えします。

 

役割給を取り入れる

 年齢給の廃止を考え始めたけど、それに代わる給与体系は何にしたらいいかが次の課題です。
そこでお勧め給与は、「役割給」です。
「役割給」は等級ごとに役割を決め、「で・き・た」場合に人事評価制度で評価し、給与に反映させると役割給が上がるという仕組みです。

今でも「職能給」を取り入れている会社も多いですが、職能給は「で・き・る」という保有能力に評価します。

職能給⇒出来る⇒出来るけどやってない場合もあり

役割給⇒出来た⇒結果について評価

 どうせお給料を払うなら、沢山仕事をしてくれ結果を出した社員を評価して昇給させたいと思いますよね。

給料体系は社員に対してのメッセージ性が強い

給料体系は人件費の管理という側面だけではなく、社員に対してどのような要素を評価するのかということを伝える側面があります。

そのため、給与体系を改正する際には、会社の課題を分析し、企業として何を大切にするのか、ミッションやビジョンと合わせて考えることが大切です。

評価制度と給与体系の一貫性を考える

給与体系を改正し、職能給や職務給を導入する場合、給与体系と評価制度が一貫している必要があります。

給与体系改正時の失敗例として、評価制度では職能を重視しているのに、実際の給与体系では業績給を導入しているというようなケースもあるでしょう。それ以前に評価制度の目的を定めていないまま、給与体系を改正するケースもあります。

給与体系の改正は給与だけではなく、評価制度と合わせて考えましょう。

運用体制まで考える

給与体系の改正は運用体制まで考える必要があります。これまで年齢給を導入していた企業の場合、運用の手間がかからず、給与計算の手間もほとんどありませんでした。
しかし、給与体系を改正し、評価制度も関わり運用方法まで考えなければいけません。

また、給与体系は従業員の生活に与える影響が大きく、失敗したときのリスクはかなり高いです。

運用や制度設計の難易度が高く、自社のみで対応するのは難しいでしょう。

社労士などからのアドバイスを受けながら改正すると、従業員の満足度が向上する可能性が高まるでしょう。