就業規則とは?

就業規則とは、会社内の労働条件を文書化したものです。労働基準法では、常時10人以上の従業員を使用する事業所ごとに作成して、所轄の労働基準監督署に届け出ることが義務づけられています(労働基準法第89)就業規則を作る目的は、従業員一人ひとりが自分勝手な判断や行動をしないよう、一律に守るべきルールを定め、運用・実行していくことです。

そして、ルールを徹底させるためにも、これに違反した者にはペナルティを課す必要があります。どのようなペナルティが課されるかについても、就業規則に定められていれば、従業員への抑止効果にもなります。

事業場ごとに作成するとは?

従業員が1人でもいれば、適用事業として労働基準法が適用される事業場となります。そして、事業の種類は問わず、株式会社などの営利法人をはじめ、財団法人、社団法人及び宗教法人等の非営利法人も含まれます。

従業員の範囲は、正社員だけではなく、パートタイマー、アルバイト、嘱託社員などの名称を問わず、労働基準法において労働者に該当する者を含みます。労働基準法でいう労働者とは、事業または事業所に使用されていること、労働の対価として賃金が支払われている者と定義されています。

そして、就業規則の届け出については、常時10人以上の従業員であることを求めていますので、何らかの理由でたまたま10人以上になった場合は含みません。また、従業員の人数は事業所ごとに見ますので、本社とは別に支店等がある場合には、本社の人数と支店の人数を合算して判断するのではなく、本社は本社の人数だけで10人以上なのか、支店は支店の人数だけで10人以上なのかを判断基準とします。

従業員の意見聴衆とは?

就業規則の作成・変更に際して、完成した就業規則を従業員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、従業員の過半数で組織する労働組合がないときは従業員の過半数を代表する者(以下、代表者)に見せて、代表者の意見を聞かなければいけません(労働基準法第901)

就業規則を労働基準監督署に提出するときには、代表者の意見を書面にして、就業規則と一緒に提出しなければいけません(労働基準法第902)。ここでいう従業員の過半数を代表する者とは、会社が代表者を選ぶのではなく、従業員の挙手または投票によって選ばれた人のことを言います。

もし、意見を聞いて、反対されたとしても、労働基準法は「意見を求めること」を求めているのであって、「同意」までは求めてはいませんので、就業規則の効力には問題はありません。ただし、反対されているにもかかわらず、無理に提出すれば、従業員のやる気を下げることになりますので、できる限り、従業員の意見も考慮して、就業規則を作り直す方が良い場合もあるでしょう。意見を聞こうとしたが、代表者がわざと意見を述べない場合、または、意見書に署名または記名押印しない場合には、意見を聞いたことを客観的に証明できれば、意見書がなくても就業規則を提出するは可能です。

就業規則に定める事項とは?

就業規則に記載すべき事項の中には、絶対的必要記載事項相対的必要記載事項があります。絶対的必要記載事項とは、就業規則を作成する時には、必ずその内容を盛り込まなければならないものであり、そのうち一つでも漏れがあった場合、労働基準監督者は受理しないので十分注意しなければなりません。

相対的必要記載事項とは、必ず記載しなければいけないものではないが、相対的必要記載事項に書かれていることを従業員に適用させる時には、記載しなければいけないものを指します。絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項をまとめると次のとおりとなります。

 

【就業規則の絶対的記載事項について】

就業規則を作成する時に必ずその内容を盛り込まなければならないものとして、労働基準法第89条第1号~第3号で次のとおり定められています。

·    始業、終業時刻、休憩時間、休日、休暇(育児休業を含む)、労働者を交替で就業させる場合には就業時転換に関する事項

·    賃金の決定、計算、支払の方法、賃金の締切・支払の時期並びに昇給に関する事項

·    退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

【就業規則の相対的記載事項について】

会社でルールとして定めている場合(相対的記載事項といいます)、記載しなければいけないものとして、労働基準法第89条第3号の2~第10号で次のとおり定められています。

·    退職手当の定めをするときは、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払の方法、支払時期に関する事項

·    臨時の賃金等及び最低賃金の定めをするときは、これに関する事項

·    労働者に食費、作業用品その他の負担をさせるときは、これに関する事項

·    安全、衛生に関する事項

·    職業訓練に関する事項

·    災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

·    表彰及び制裁の種類、程度に関する事項

·    上記以外に事業場の労働者のすべてに適用ある定めに関する事項(例えば、遅刻、早退、欠勤、外出、出張、日直、休職、異動、福利厚生など)

 

就業規則はなぜ必要か?