マイナンバーの通知カード廃止へ

 

 新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の緊急経済対策の一つである特別定額給付金では、事前にマイナンバーが普及していればスムースに運用ができたのではないかという声も聞かれた。現状、従業員にマイナンバーの確認を求めたときには通知カードと運転免許証を提出してもらうことが多く、マイナンバーカードの普及状況が低迷していると想像されることから、マイナンバーについて確認することとした。

 最近、マイナポイントが始まったということで、マイナンバーカードのテレビコマーシャルをよく見かけるようになりましたね。今後、マイナンバーはマイナンバーカードで確認するという方向性なのでしょうか。

 そうですね、政府もマイナンバーカードの普及に力を入れていますので、そのようになるのでしょう。関連して、社会保険や税の手続きについて、個人番号(マイナンバー)を記載することはご承知かと思いますが、マイナンバーを確認するものの一つであった通知カードが、今年5月25日に廃止されました。

 現在、中途採用者が入社するときにはマイナンバーカードか通知カードと本人確認書類を持ってきてもらっているのですが、今後は必ずマイナンバーカードで確認をしなければならないのでしょうか。

 そうですね。マイナンバーカードで確認する他、既に発行されている通知カードで通知カードに記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致している場合には、引き続き通知カードをマイナンバーの証明書類として使うことができます。

 なるほど。今後も通知カードでマイナンバーを確認しようとするときは、記載されている内容について変更がないかも確認する必要があるということですね。

 おっしゃるとおりです。これらの事項に変更があるときは、マイナンバーカードまたはマイナンバーが記載された住民票の写し、住民票記載事項証明書でマイナンバーを確認する必要があります。

 マイナンバーカードを保有していれば問題になりませんが、運用としてはかなり手間になりますね。ところで通知カードが廃止されたことで、例えば、子どもが生まれたときなど、新たにマイナンバーが発行された場合にはどのようにそのマイナンバーを把握することになるのですか。

 通知カードは廃止されましたが、その代わりに「個人番号通知書」が届くことになっています。個人番号通知書にはマイナンバー、氏名、生年月日等が記載されており、交付申請用のQRコードも添えられています。

 それであれば、通知カードの代わりに個人番号通知書の写しを提出してもらうこともできるのでしょうか。

 残念ながら、個人番号通知書はマイナンバーを証明する書類や身分証明書としては利用できません。やはり先ほど申し上げた方法にて確認いただくことになります。

 承知しました。

 ところで、今後マイナンバーカードは普及するのでしょうか。

 2020年8月1日現在の交付枚数率は全国で18.2%に留まっています。まだ十分に普及しているとはいいがたいですが、2021年3月からはマイナンバーカードが健康保険証として利用できる予定であり、ある程度の普及が予想されます。ただし健康保険証が廃止されるわけではなく、マイナンバーカードの場合、医療機関・薬局の窓口で「顔認証付きカードリーダー」でマイナバーカードを読み取り、患者の本人確認等ができる仕組みとなります。現状の健康保険証での被保険者資格の確認と並行して使われることになるのでしょうね。

 なるほど。被保険者の利便性というよりも、まずは医療機関・薬局側で利便性が高まりそうですね。

 それはあるかもしれませんね。被保険者としては転職や結婚等のライフイベント時に健康保険証の発行を待たずに医療機関を受診できたり、マイナポータルで確定申告の医療費控除が簡単にできるようになることを政府はメリットとして挙げています。

 そう考えると、爆発的な普及にはならないかもしれませんが、少しずつマイナンバーカードを使う場面が増えていくのかもしれませんね。

 そうですね。健康保険証の件については、従業員のみなさんから問い合わせがあるかもしれませんので、早めに仕組をご確認くださいね。

 ありがとうございます。まずは概要を押さえておくようにします。