助成金の勧誘にご注意ください!
助成金の勧誘にご注意ください!
最近、雇用関係の助成金の申請や、助成対象の診断及び受給額の無料査定をするといった記載内容の書面を送付し、勧誘しているとの情報が顧問先様からも寄せられています。
中には厚生労働省から委託を受けたと装ってFAXDM等を一方的に送付し、助成金の活用を勧誘する事業者が存在するとの情報もあり、厚労省も注意を呼び掛けています。
厚生労働省や労働局・ハローワークが、特定の事業者に助成金の勧誘を委託することは絶対にありません。
「労働保険料の滞納がない」
「雇用保険および社会保険に加入している」
「過去半年以内に会社都合の退職がない」
『上記のすべてを満たしている会社は助成金がもらえます』といったキャッチフレーズをご覧になったことはありませんか ?
これらの事業者は、手数料や報酬などを目的に本来受けることができない助成金について、受給を提案している可能性がありますので、十分ご注意ください。
不正があった場合、当然事業主が責任を問われる!
このような事業者に指南されて虚偽の申請書あるいは添付書類を提出すれば、申請者自身が不正受給を問われることにもなります。
助成金詐欺は被害者となるだけでなく、場合によっては,加害者にもなってしまう点も大変に怖いところです。
経営コンサルタントを名乗る事業者に指南されて虚偽の申請書等を提出した場合や、申請代理人が不正行為を行った場合でも、事業主が不正受給を問われることがありますので、十分ご注意ください。
不正受給を行った場合、事業主は助成金の返還を求められるだけでなく、事業主名が原則公表されるとともに、5年間助成金が受けられなくなります。
また、手口が悪質な場合、インチキし役所を欺き不正に金銭の交付を受けたことになりますので、刑法上の詐欺罪に問われることもあります。
詐欺罪で有罪となった場合は、10年以下の懲役となり、詐欺罪では執行猶予がつかず実刑となるケースも少なくないようです。
助成金の不正受給は、それほど重大な違法行為だということなのです。
我々社会保険労務士も責任を問われます
不正受給を行った事業主に対してのみならず、不正に関与した社会保険労務士、代理人を連帯債務者として返還請求を行われます。
そのほか、不正に関与した社会保険労務士や代理人も公表されるとともに、事業主の不支給期間と同期間(5年間)、雇用関係助成金の申請はできなくなります。
問題なのは、法を守るべき国家資格者である社会保険労務士の関与の届かないところで、会社が不正を行って、連座制で共倒れになるというところです。
そうなれば、資格の停止や剥奪の処分も受け、事務所廃業という道は避けられなくなってしまいます。
助成金は、支給申請が受理され国庫金の入金が行われればそれで完結、というわけではありません。
労働局の事後監査や会計検査院の調査で不正が露見し、取り返しのつかないことになったというは枚挙にいとまがありません。
そのような割に合わない高リスクな助成金不正受給の関与は、社会保険労務士であれば誰も引き受けないでしょう。
要注意業者の特徴
本来、助成金はお金を儲けるためのものでもなく資金調達の制度でもありません。
社員の待遇改善をしたり、社員の教育やスキルアップ、労務管理の向上のために、その費用を助成するためのものです。
ですから、コンサル業者の営業がちゃんと経営課題を聞いてきたり、労務施策を聞いたうえで「そうであれば、この助成金が活用できそうですね」という提案の流れならば、まともな業者である可能性はあります。
ですが、「この助成金が申請しやすく、そこそこ儲かりますから申請してみませんか?」「締切間近の助成金なので、早く申請しないと間に合いませんよ」「助成金はもらわないと損ですよ」というように、勧誘電話等で会社の事情や労働条件もろくに聞かず、口を開くやいなや助成金を勧めてくるような業者は、要注意の業者だと思ったほうがいいかもしれません。
雇用関係助成金の申請代行ができるのは、社会保険労務士だけ
また、厚労省の雇用関係助成金の申請書類の作成や申請の代行ができるのは、社会保険労務士の独占業務とされています。
よって資格のないコンサル業者が申請代行を行うと、法律違反になります。
コンサル業者から「提携している社会保険労務士を先生を紹介します」という話もあるようですが、そもそも法律で非社会保険労務士との提携は禁じられています。
適当な説明だけで着手金の支払いを求め、その後は放置し連絡もろくに寄こさない、あるいは充分なサポートをしないというような、悪質なコンサル業者も少なくないようですのでご注意下さい。
最後に
「助成金は儲かる、もらわないと損」というような話がネット上にあふれていたり、営業上手なコンサル業者の魅力的な文言に惑わされてしまい、あるいは同業者が助成金で儲かったなんて話を聞いてしまうと「ウチもこの流れに乗らなければ」という心理状態になってしまうかもしれません。
しかし、実際はそのような美味しい話はほとんどありませんし、不正受給はせずとも、助成金というお金を貰うこと自体が目的化してしまい、助成金に合わせて本来の労務管理や雇用環境を歪めたりしてしまっては本末転倒です。
まずは、どのような会社にしたいのかという明確なビジョンを固め本業をしっかりと行って頂きたいと思います。
弊事務所は顧問先様以外の助成金申請は原則として受けておりません。
先に申し上げたとおり、助成金の活用は会社の実情をよく知らないとできませんので、お金もらうことが目的の助成金ありきのスポット依頼はポリシーとしても受けることができません。
(特例措置の雇用調整助成金の場合はスポット対応にも柔軟に対応しています。)
労務管理を改善することにより会社を良くしたいという想いをお持ちの顧問先様には、雇用環境の改善に活用できそうな顧問先様に合った助成金を提案させていただきます。